新しい教室開設にあたり、いつでも描けるように部屋には画材なども置いておこうと少しずつ準備。新しいパレットに好きな色の絵具を並べ、ご満悦。これがとても楽しい作業なのだ。お気に入りの絵具は、その色によってメーカーもバラバラ。セヌリエのキナクリドンレッドオレンジ、マイメリのヴェルツィーノバイオレット、フラゴナールのヴェロネーゼグリーン、・・・といった具合。こうなると、絵具は描く道具というよりは色そのものを楽しむ為の玩具だ。色気はないが色は好き。
私はよく音楽を聴きながら作業する。音は色彩を孕んでいるが、「音の色」が絡み合って、音楽のリズムとともにあるかたちを成してくる。奏でられる「色」は楽曲の流れに伴って変化する。時や空気の色もそうだ。それら浮かんできた色と、絵具の色は、必ずしもぴたりとは来ない。だからこそ、今度は「浮かんできた色」を表現してみたくなってくる。
音・色・匂・触・・・感覚を開放して何かを作り出そうとするときに、いつも助けてくれるのは、適度に狭い部屋の、何も無い白い壁。
2010.3.28