学年末、中3は高校で選択しなければ、最後の美術の授業。課題の提出を促してそろそろ終わりの時間。
決して美術は得意でなく、はじめはあまり熱心でなかった生徒が寄ってきて、「先生の授業楽しかった!」とにっこり。なんだか嬉しくなってしまった。最近胃の痛くなるような事がもやもやと続いていたのが一気に吹き飛んだ。
苦手意識のある子に一生懸命やってごらんとは言うものの、思うようにできないと気分も萎える。それでも仕上がるまで格闘すると、ちゃんと形になるし達成感も得られるのだろう。生徒の満足げな顔を見るともう何もいらないって気分になる。先生やってよかったなと思える瞬間だ。上手に描くのが大事なのではないと幾ら言ってもなかなか分かってもらえないが、まずは作ることの楽しさを味わってほしい。「上手に描く」という大人たちにいつの間にか吹き込まれた余計な概念を拭い去ることで、持ち前の素直さ、豊かな感受性は甦る。
人前に立つとか、みんなを纏めるとか大の苦手で先生業は絶対無理だと学生時代は教員免許も取得せず、必要に迫られて取った免許は卒業してだいぶ経ってから。でも縁あってこういう仕事に携われたこと、今頃になって少しずつ有難さがわかってきた。