父へ

akira

毎回お線香をあげる度に遺影写真の余所行きの顔がどことなくしっくりこなくて、普段の表情を思い浮かべながら父を描きました。

優しい父でした。家族を大切にし、皆がそばにいると満足そうで、家にいるのが大好きで。

そんな父でしたから最期の時までずっと家で過ごせたのはよかったのかな。私も看病させてもらえる時間を与えられてよかったです。

でも、最期を迎える数時間のことを思い出すと、いまも胸が苦しくなります。

高校生の時に祖父のお葬式で読まれたお経の中に「白骨の章」というのがあって強く印象に残っていたのですが「~ 既に無常の風来りぬれば、すなわち二の眼たちまちに閉じ、一の息ながく絶えぬれば、紅顔むなしく変じて桃李の装を失いぬるときは ~」というくだり、頭ではわかっていたけれど実際に目の当たりにし、その瞬間はまさにこれなんだ・・・と。

この世でのお別れと思い、喘ぐ父の汗を拭きながら思わずスケッチしたけれど、今まだ まともにそれを見ることが出来ません。

それとは対照的に亡くなったときの穏やかな父の顔、それも自分の中に留めおきたいという思いでスケッチしました。

感謝を込めて。

 

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